がんゲノム医療外来
遺伝子レベルで自身のがんを知る、
乳がんとの新しい向き合い方。
2018年7月、相良病院では乳がん治療の選択肢を広げるため、「がんゲノム医療外来」を開設し、自由診療の検査を開始しました。2018年10月には厚生労働省より「がんゲノム医療連携病院」に認定され、2019年9月より保険適用の検査も開始しております。
がんゲノム医療を提供できるのは、国内でも限られた施設だけです。他院で診療を受けている患者さんは、主治医にご相談のうえ、当院のがん相談支援センターにお問い合わせください。
がんゲノム医療をご検討中の患者さまへ
がんゲノム医療は、がん遺伝子情報に基づき、
個別の治療方法を提案・実施します。
がんゲノム医療は、がん細胞や正常細胞のゲノム情報を調べて、治療の最適化や治療成績の予測、発症予防を行う医療です。
すべてのがん細胞は、正常な細胞の遺伝子(ゲノム)に異常が生じることにより発生します。遺伝子の異常に応じてがん細胞の性格や薬剤の効果が異なることが分かっており、同じ乳がんでもその原因となった遺伝子異常は様々です。
従来の通常診療では遺伝子の異常を詳しく調べられなかったので、臨床試験結果に基づき、乳がんに一定の頻度効果があると思われる薬剤を使用してきました。しかし、近年の技術進歩により、がん細胞の遺伝子異常を網羅的に調べる「遺伝子パネル検査」が通常診療で行えるようになりました。この遺伝子パネル検査の結果を踏まえて、効果が期待できる薬剤を選択できれば、病状の緩和や副作用の軽減など、患者さんのQOL(生活の質)を向上させることも可能です。
がんゲノム医療は、「プレシジョン・メディシン(precision medicine : 高精度医療、精密医療)」とも呼ばれています。プレシジョン・メディシンは今後、がん診療の重要な柱になると期待されています。
参考動画のご紹介
「がん遺伝子パネル検査って知ってる?」
https://www.youtube.com/watch?v=4OYdreSCXZA
がんゲノム医療の流れ
1.がんゲノム医療外来(専門外来)の受診
- がん遺伝子パネル検査の内容と意義を説明後、同意を得た上で、検査提出
- 正常細胞のゲノム解析のため、採血を実施(一部の検査では不要)
- いままでの経過(診療情報)の提出(エキスパートパネルでの検討に必要)
2.病理診断科で検査検体の準備と提出
3.遺伝子パネル検査を検査受託会社で施行
- ゲノム解析を施行
- ゲノム・データベースと照らし合わせ、病的な異常の有無や推奨される治療薬を検索
4.エキスパートパネル(専門家会議)
- 推奨治療の検討と報告書作成
5.がんゲノム医療外来(専門外来)の受診
- ゲノム解析結果と推奨治療などを説明
当院でできるがん遺伝子パネル検査
保険診療による検査
通常の治療が終了し、全身状態が保たれている方(パフォーマンスステータス0もしくは1)が対象となります。当院キャンサーボードで検査運用を協議のうえ説明します。
検査の種類
- Oncoguide NCCオンコパネル:127遺伝子(融合遺伝子含む)を調べます。二次所見(後述)が判明することがあります。
- FoundationOne CDx:345遺伝子(融合遺伝子含む)を調べます。二次所見は出ません。
自由診療による検査(自費による検査となります)
原則として検査対象の制限はありません。検査を希望される方の状況によっては検査を推奨しないことがあります。保険診療での検査対象にならない、またはより詳細な遺伝子パネル検査を希望される方のための選択肢です。
検査の種類
- PleSSision 160 genes Panel:160遺伝子を調べます。
二次所見(後述)が判明することがあります。 - PleSSision-Exome Panel:全ての遺伝子(19,296遺伝子)を調べます。
二次所見(後述)が判明することがあります。PleSSision検査は自由診療での提供になります。
下記のPleSSision検査を受ける際の注意点をご確認のうえ、お申し込みください。
「PleSSision検査」を受ける際の注意点(PDF)
参考動画のご紹介
「がん遺伝子パネル検査『プレシジョン検査』」
https://www.youtube.com/watch?v=Sos74GUPOsA
二次所見について
遺伝子パネル検査はがん細胞の遺伝子変異を調べ、治療につながる所見(検査結果)を見つけることが目的です。治療につながる所見のことを“本来的所見(一次所見)“と呼びます。一方、検査対象となるがん関連遺伝子の変異が、がん細胞ではなく正常細胞に意図せず見つかることがあります。それを“二次所見”と呼んでいます。
二次所見はなんらかの遺伝性疾患に関連することがあり、ときに患者さんご本人やご家族の健康に強く影響するものもあります。その遺伝子変異は、がん治療につながることもあれば、つながらないこともあります。遺伝性疾患によっては対策(病気の予防や早期発見、コントロール)ができることがあるため、当外来ではその重要性に応じて二次所見の対応を決めています。
検査を希望される方は事前に「二次所見が見つかった場合」をお読みください。
お問い合わせ
がん相談支援センター がんゲノム医療外来係
099-216-3360(直通)
電話受付時間 月曜~金曜 9:00~17:30
- 受付時間外は、メールによるお問い合わせが可能です。3営業日以内にご返事がない場合は、大変恐縮ですが再度お問い合わせをお願いいたします。
ご紹介を検討されている医療施設の方へ
がんゲノム医療外来では、遺伝子パネル検査説明と適応判断を行い、検査結果に応じて最も推奨される治療を提示します。
当院以外で診療を受けている患者さんの場合、当院より推奨される治療情報を提供し、現在受診中の医療機関にて治療をお願いしております(ただし、治験や先進医療に該当する場合は、当院での登録または対応する医療施設へ紹介することがあります)。
遺伝子パネル検査は、検査提出から報告書到着まで4週間ほどかかり、検査費用はおよそ50~100万円/回と高額です。患者さんの病状によっては、検査を行い治療につながる結果となっても病状悪化で治療できないことが起こりえます。
また保険診療での遺伝子パネル検査については、病状や臨床経過で適応に厳しい制限があり、受診しても検査を行えないことや保険請求が認められないことがあります。
つきましては、ご紹介頂く際には患者さんのご負担軽減のため、後述の項目をご確認の上、厳守いただきますよう、よろしくお願い致します。
がんゲノム医療外来の確認事項
STEP1 ご紹介元 |
・[受診前チェックリスト(PDF)]をダウンロードしご記入ください。
・下記の連絡先にFAXまたはメールでご送信ください。
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STEP2 相良病院 |
・チェックリスト提出後、がんゲノム医療外来担当医にて当科で対応可能か判断致します。
・受診可能と判断される場合は、ご予約や紹介状作成依頼についてご案内を致します。
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STEP3 ご紹介元 |
・[がんゲノム医療・パネル検査診療情報提供書(PDF)]・画像データ、病理検体のご準備をお願い致します。診療情報提供書はあらかじめ当院までFAXをお願い致します。原本は当日受診時で構いません。
・病理検体は[病理検体のお願い(PDF)]をご参照の上、ご郵送をお願い致します。
・患者様へ[がんゲノム医療問診票(PDF)]をお渡し頂き、受診当日お持ちいただくようお願い致します。
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STEP4 相良病院 |
・がんゲノム医療外来受診、遺伝子パネル検査説明を行います。
・検査実施後、結果の説明は約4週間後に当院で行います。
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STEP5 ご紹介元 |
・遺伝子パネル検査実施となった際は、追加で詳細な治療経過情報が必要になります。
・C-CAT登録データシート※へご記入いただき、下記までFAXまたはメール添付をお願い致します。
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- 保険診療で行う検査は、原則的にC-CAT(がんゲノム情報管理センター:国立がん研究センターに設置)へ詳細な診療経過を含む臨床情報の登録が求められます。検査提出後は速やかに「C-CAT登録データシート」へご記入のうえ、がんゲノム医療外来へご送付ください。
お問い合わせ
受診に関するお問い合わせ・診療情報提供書等の送付先
がん相談支援センター がんゲノム医療外来
099-216-3360(直通)
099-219-3578
送付先
〒892-0833
鹿児島市松原町3-31
相良病院 がん相談支援センター がんゲノム医療外来係
検体に関するお問い合わせ・検体送付先
相良病院 病理診断科
099-222-7116 内線1709
送付先
〒892-0833
鹿児島市松原町3-31
相良病院 病理診断科