放射線治療科について
それぞれの患者さんによりやさしく、より効果的な放射線治療を実践します。
さがらパース通りクリニックにある放射線治療センターは、放射線外照射治療装置(リニアック)を用いた外照射療法や、甲状腺疾患に対する放射性ヨウ素内用療法(アイソトープ治療)、内分泌疾患に対する核医学検査(RI検査)を中心とした診療を行っています。
放射線療法は、がん細胞が分裂して増殖するときに必要な遺伝子に作用して、がん細胞が増えないようにしたり、古いがん細胞が新しい細胞に置き換わるのを防ぐことで、がん病巣を消滅・縮小させる治療です。
現在のがん診療において、放射線療法は、手術、化学療法と並んで「がん治療の3本柱」の1つとされています。
放射線は目に見えず、照射中に痛みは感じません。身体への負担が少なく、やさしい治療ですので、高齢の方や合併疾患で手術ができない方にも適応可能です。外来で通いながら治療を受けることができますが、当院では通院が困難な遠方の方でも安心して治療を受けていただけるように、入院施設も完備しています。
放射線治療専用病棟
さがらパース通りクリニックには放射線治療専用病棟があり、放射線治療専門病床16床、アイソトープ管理病床2床を備えています。詳しくは下記のページからご確認ください。
放射線外照射治療装置(リニアック)
2007年3月、定位放射線治療が可能なCT同室の放射線外照射治療装置を導入してから、当科では乳がん患者さんを中心に延べ5000人以上の放射線治療を行ってきました(2019年4月現在)。
2019年2月、バリアン社製の「VitalBeam」の運用を開始しました。この装置は腫瘍部分に対してより正確に照射を行うとともに、周囲の正常組織への照射線量を抑えることも可能な「画像誘導放射線治療」と「高精度放射線治療」を同時に行える革新的な放射線外照射治療装置です。従来の装置に比べて、照射時間が大幅に短縮され、患者さんによりやさしく、より有効な治療を可能としています。
この「VitalBeam」を使用して、2019年3月より主に前立腺がん患者さんを対象に、先進的なX線治療である強度変調回転放射線治療(Volumetric Modulated Arc Therapy: VMAT)を開始し、同年7月に強度変調放射線治療の認定施設になりました。
また、2020年1月に以前から使用していた放射線治療装置に替えて、バリアン社製の「Halcyon」の運用を開始しました。「Halcyon」も「VitalBeam」と同様に「画像誘導放射線治療」と「高精度放射線治療」を同時に実施できるうえに、従来の装置と比べて照射時間の短縮と静粛性の向上を実現し、患者さんはより負担なく快適に治療を受けられるようになっています。
私たちはこれら2機の放射線外照射治療装置を駆使し、それぞれの特性を生かして、患者さん一人ひとりの病状により適した治療を提案してまいります。
強度変調回転放射線治療(Volumetric Modulated Arc Therapy: VMAT)について
近年めざましく進歩しつつある放射線外照射法のひとつとして、強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)があります。
IMRTは、放射線感受性が高い正常組織と病巣が近接している時、従来の放射線治療以上に病巣に放射線を集中させることで、より高い治療効果とより少ない副作用の両立を狙います。
IMRTのさらなる進化系が、強度変調回転放射線治療(Volumetric Modulated Arc Therapy :VMAT)です。従来のIMRTと同じ治療をより短時間で行うことができるため、治療精度の向上に加えて、患者さんの負担の軽減にもつながります。
・従来の照射と比べて、強度変調放射線治療はより前立腺の形状に沿った放射線の分布をつくることができます。
・さらに背側に接して存在する直腸への照射線量(矢印)も抑えることができています。
放射線治療を受ける方へ
さがらパース通りクリニック放射線治療センター監修のパンフレットに、放射線治療の基礎知識がまとめられています。ぜひご一読ください。
「乳房部分切除術後」の放射線治療は、患者さんに、より負担が少ない治療をご提供できるようになります。
スタッフ紹介
日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医3名、日本核医学会専門医1名、診療放射線技師5名(うち放射線治療専門放射線技師3名、放射線治療品質管理士2名)、栄養士、医療クラーク、事務